モグラ論
2006年9月12日あれは、もう一年半ほど前のことである。
その頃、俺はM1(修士課程1年生)で、研究室の先輩であるM2のT先輩がもうそろそろ卒業するという、そんな時期だった。
T先輩とは、もう何百時間喋っただろう。
休憩のたびにT先輩が俺のところに来てはダベり、そのまま1時間、2時間経過するのは日常的だった。
そんなある日、T先輩が俺に言った。
「ジキル君、君は実に優秀なモグラだ!こと、最近の君の素晴らしいモグラっぷりには少々嫉妬さえ覚えるよ。いやあ、卒業したら、これから先の君の鮮やかなモグラっぷりを見ることができなくなるから、ボクは非常に残念だよ」
いきなり自分をモグラだと言われて、俺は目をパチクリさせた。
しかし、T先輩が話を切り出すとき、こういう風に意味不明な言葉を発するのはさほど珍しいことではない。
というか、いつもそうだった。
「モグラって、あの穴掘りするモグラですか?」
「何言ってるんだい、当たり前じゃないか」
「俺、今まで掘ったことないんですけど(←さりげなく下ネタ)、俺のどこらへんが優秀なモグラなんですか?(笑)」
「これはボクですら予想してなかったんだけどね、君と話をするとどんなことでもツッコんでくるよね。そうして君は誰かと話をするうちに、ツッコみまくることで色んなことを吸収してきたんだよ」
「はあ」
「これは非常に素晴らしいことだよ。なぜなら、例えばボクなんかだとコンピュータとゲームとアニメの話以外だと大して長持ちしないのに、君はボクが覚えている限りでは、誰とどんな話をしても長持ちさせることができるんだ。これは、話すのが上手い下手とか、そういう次元の話ではないと思うね。君は、自分が知らないことでも積極的にツッコむことにより、知らず知らずのうちに結構な知識を吸収しているんだ。つまり、ボクがコンピュータとゲームとアニメにおいて深く掘ることができるモグラだとすれば、君は、広い範囲において一般レベル以上の穴を掘ることができるモグラなんだ。だから君は、優秀なモグラなんだ!」
もはや、この会話をここでこれ以上書く意味はない。
それに、俺はT先輩が賞賛するほど、話すのうまくないし。
それ以前に、「優秀なモグラ」という言葉が褒め言葉だったのかどうかが問題である、うむ。
その頃、俺はM1(修士課程1年生)で、研究室の先輩であるM2のT先輩がもうそろそろ卒業するという、そんな時期だった。
T先輩とは、もう何百時間喋っただろう。
休憩のたびにT先輩が俺のところに来てはダベり、そのまま1時間、2時間経過するのは日常的だった。
そんなある日、T先輩が俺に言った。
「ジキル君、君は実に優秀なモグラだ!こと、最近の君の素晴らしいモグラっぷりには少々嫉妬さえ覚えるよ。いやあ、卒業したら、これから先の君の鮮やかなモグラっぷりを見ることができなくなるから、ボクは非常に残念だよ」
いきなり自分をモグラだと言われて、俺は目をパチクリさせた。
しかし、T先輩が話を切り出すとき、こういう風に意味不明な言葉を発するのはさほど珍しいことではない。
というか、いつもそうだった。
「モグラって、あの穴掘りするモグラですか?」
「何言ってるんだい、当たり前じゃないか」
「俺、今まで掘ったことないんですけど(←さりげなく下ネタ)、俺のどこらへんが優秀なモグラなんですか?(笑)」
「これはボクですら予想してなかったんだけどね、君と話をするとどんなことでもツッコんでくるよね。そうして君は誰かと話をするうちに、ツッコみまくることで色んなことを吸収してきたんだよ」
「はあ」
「これは非常に素晴らしいことだよ。なぜなら、例えばボクなんかだとコンピュータとゲームとアニメの話以外だと大して長持ちしないのに、君はボクが覚えている限りでは、誰とどんな話をしても長持ちさせることができるんだ。これは、話すのが上手い下手とか、そういう次元の話ではないと思うね。君は、自分が知らないことでも積極的にツッコむことにより、知らず知らずのうちに結構な知識を吸収しているんだ。つまり、ボクがコンピュータとゲームとアニメにおいて深く掘ることができるモグラだとすれば、君は、広い範囲において一般レベル以上の穴を掘ることができるモグラなんだ。だから君は、優秀なモグラなんだ!」
もはや、この会話をここでこれ以上書く意味はない。
それに、俺はT先輩が賞賛するほど、話すのうまくないし。
それ以前に、「優秀なモグラ」という言葉が褒め言葉だったのかどうかが問題である、うむ。
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