11月10日の日記

2004年11月10日 笑い
ジキルです。

これが久々の日記になるのは理由がある。
10/28以来の日記になろうか。

10/29の昼、講義を受け終えて研究室に戻った俺は、
一人で昼食を食べようと自分の席を立った。
研究所の階段を降りて食堂へ続く道を歩いている途中、
自分の体の異変に気付いた。

なんか右の胸が苦しい。
息をすると肩や背中が鋭利なもの…例えばキリや針…に刺されたような
痛みが走る。
しかし、この時俺は自分の体にかつてない危機が迫っていることはまだ感知していなかった。
激しい運動をした後の筋肉痛と同じようなものなのか?と信じ込もうとし、
息苦しさに耐えながら昼食を食べ、また研究室に戻った。
研究室に戻って論文を読もうとしても、
激しさを増す胸の痛みが気になって、どうしたら胸の痛みが和らぐだろいうと思い、
とりあえず寝てはどうかと思った。

しばらくして起きると、胸の痛みは幾らかおさまっていたが、
キーボードを叩き始めるとすぐに痛みが胸を襲った。
しかも、寝る前よりもひどい痛みだった。
(これまじでやべぇ…)
と思っていると、先輩がいつもの話(アニメ関連とでも言っておこう)を
俺に聞かせにきた。
しかし、もうその時俺は先輩の話が耳に入らないほど意識が薄れていて、
先輩も俺がいつもと違うと感じたのだろう、
俺にすぐに病院に行けと言った。

先輩の一言でなにかが吹っ切れた俺は、
急いでキャンパスにある保健センターの場所を検索した。
場所は研究室から歩いて15分ほどの所だっただろうか、
16時に閉館すると書かれてあった。
時計を見ると、時刻は15時55分だった。
急いで電話をかけ、すぐに保健センターに向かう旨を伝えた。

保健センターへの道のりは、実際の距離よりも遥かに長いように感じられた。
もはや右の肺で呼吸することはできず、
右半身は痺れ、バッグすら持てなかった。
左の肺はなんともなかったが、左の肺だけで呼吸できるほど器用ではない。
空気はどうしても右の肺に入り込み、その度に激痛が右上半身を走った。

保健センターの内科の受付に辿り着いてさっそく医師に診察してもらい、
すぐに胸のレントゲンを取られた。
レントゲンの写真を医師が見たのはほんの数秒だったと思われるが、
その間俺は凄まじい不安に襲われていた。

―ガンだったらどうしよう―

CTならともかく、レントゲンでガンの存在を判断できるかどうかは知らないが、
あの時の不安は他に例えようがない。
本当に、(俺はここまでか)と思った。

医師は目を写真から俺に戻し、やや安堵した顔でこう言った。

「これは気胸ですね」

俺はそのような病名をその時初めて聞いたが、
医師や看護士は「気胸ならそんなに不安がらなくても」と言った。
しかし、保健センターで治療できるものでもないらしく、
俺は俺の大学の付属病院に運び込まれた。
いわゆる緊急入院ということになろうか。
あたりはすっかり暗くなっていた。

『気胸』とは…
ググればすぐに分かるが、
肺の表面に稀にできる「ブラ」と呼ばれるごく小さなブツブツが破裂することで
肺に穴が空き、本来ピッタリくっついているはずの肺と横隔膜の間に空気が入り込み、
肺がその空気に圧迫されたり、空気が横隔膜の表面にある神経を刺激したりすることで
様々な苦痛をもたらす病気である。
背が高く、痩せ型の男性がこの病気にかかりやすい。
何がはずみでブラが破裂するのかは現在の医学をもってしても不明らしいが、
俺はそういう体格であり、ナースさん達も
「教科書通りの患者さんね」
と言っていた。そういえば、ナースさん可愛い人多かったな…(笑)

その後、俺は10日間の入院生活を強いられることになり、
やっと退院できたというわけだ。
入院中は携帯電話もネット(実は限られた範囲ならばネットは使えたのだが)
も使えなかったため、色々な人に迷惑をかけてしまった。

治療法としては、手術こそなされなかったものの、
右胸の上から三本目の肋骨の下部に直径20mmほどの穴を空けられ、
肺と横隔膜の間から脱気しているときの穴傷の痛さといったら、
もう夜も眠れないほどであった。
ちなみに、この気胸という病気はかなりの確率で再発するらしく、
再発したら手術を受けなければならないそうだ。

退院した今でも、俺の右の肺は本調子ではなく、まだ普通に呼吸できていない。
正確に言うと、呼吸できていないのではなく、怖くて普通に呼吸したくないのである。
大きく息を吸うと、またブラが破裂して気胸になるかもしれないと思うと…

思えば、あの時先輩が病院に行けと言わなかったら、
俺はあの日病院に行かなかっただろう。
自分で言うのも恥ずかしいが、俺はガンと診断されるんじゃないかと思い、
それでどうしても病院に足が向かなかったのである。
先輩の一声がなかったら、そのまま病院に行かず、
苦しいまま週末を過ごしていたかもしれない。
そう思うとぞっとする。
そしてあのタイミングで話しかけてきてくれた先輩に感謝する。
あれでアニヲタでなければ最高の先輩なのに!(笑)
(アニメ好きなのは別にいいが、自称2.5次元好きっていうのがね…(笑))

思えば、あの病棟のあの階では、俺の病気(気胸)は他の誰より軽い病気だっただろう。
しかし、やはりどんな病気でも、本人にとっては悪魔に違いない。

再発しないことを祈るとともに、ちゃんと朝食を食べることを誓う。

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